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舌好調! 女流作家とポコピカXmas

目覚めると、屋根の窓から朝日が降り注いでいた。

そう、ここは那須高原の別荘地。

なっきー様のご自宅だ。

目覚めた場所から家主の姿は見当たらないが、どこからともなく聞こえてくる陽気な鼻歌が、いつものあの存在を主張してくる。

歌は陽気だが、本人は決してご機嫌なわけではない。

初めて歌う曲がなかなか頭に入らず、口に馴染まず、ただただ反復練習をしているのだ。

昨晩から何度も聴き、練習している曲なので、本人もそろそろうんざりしている頃だろうが、やらずにはいられない。

覚えきれていないから。

なっきー邸は吹き抜けなので、どこにいても声がよく聞こえる。

声量的には特に睡眠の妨げになるようなことはないが、お得意の替え歌や、鼻歌の合間にちょいちょい挟んでくる独り言はどうにかならないものか。

爽やかな朝には絶妙に耳障りである。

「あー、出てこないぃ」
「あれ?ちがうな」
「歌えば歌うほど迷子だわ」
「ダメだこりゃ。がっはっは」

今日も独り言は絶好調。

本当によく喋る。

「舌好調」の方がしっくりくるのではなかろうか。

さて、今日はポコピカソンのクリスマスステージ。

ショータイムは夜なので、現場への入り時間は夕方。

それなら昼過ぎに那須入りしたとしても、ショータイムには間に合いそうなものだが、そうはいかない。

本当に準備するものの多いこと。

前日からなっきー邸に乗り込み、段取りや歌合わせや振り合わせなど終え、床についたのが夜中の3時すぎ。

そして、目覚ましは間違いだらけのこの鼻歌(舌好調の独り言オプション付)だ。

出発は16:20。

場所はなっきー邸から10分ほどで到着するロイヤルホテル那須。

近い。

とても近い。

ありがたい。

夕方まではみっちり段取りの確認をし、出発だ。

出発前、なっきー様には恒例の「大仕事」が待っている。

愛犬オセロの散歩だ。

「オセくん、時間がないの。お散歩15分ね」

きっとオセくんはこう思っただろう。

「(時間はたっぷりあっただろ)」

しかも、散歩前に思いついたことをバタバタとこなした結果、時計を見てこう言い放つ。

「ごめんごめん、15分って言ったけど10分ね。レッツゴー!」


「(なにがレッツゴーじゃ)」

ぼっこぼこに防寒着を装い、寒空の下に消えていく愛犬とご主人様。

いってらっしゃいませ。

その間に僕は荷物を車に積み込むことにした。

現場で荷物を運ぶことと、帰り支度が早く済むことを考慮し、この日の荷物はほとんどがスーツケース。

海外旅行でもこんなにスーツケースを持っていかないのに、車で10分の距離でこの量。

この中に夢と希望が詰まっている。

しばらくするとまた防寒着姿の「舌好調」が愛犬とともに戻ってきた。

よき空。

のんびりしている場合ではない。

忘れ物がないか最終チェックし出発する。

10分後、現場に到着。

(本当に近い)

ホテルの中はすっかりクリスマスムードに包まれていた。

大きなクマさんもお出迎え🐻

なんだろう、不本意な顔がなんだか愛くるしい。

熊に心を持っていかれている場合ではない。

荷物を降ろして準備準備。

広い会場内には大きなテーブルがいくつも並んでいる。

今にもディナーショーが始まるかのような雰囲気だ。(まぁ、ある意味ディナーショーなのだが)

バイキングにはさぞ豪華な料理が並ぶのであろう。いいなぁ。

美味しそうな料理に指を咥えながらも、せっせと準備する手は止まらない。

そして出来上がったステージ。

ステージ前の譜面台が、なっきー様ご不安の歌詞が書かれたカンペであることは内緒だぞ。

控え室に戻るとそこには夕食の準備がされていた。

「わぁ!寿司!チキン!うどん!そば!」と、ふたり、今日いちのテンションをみせる。

「いっただっきまーーーーす!」

仕事のことなど一時的に忘れて食事をかっ食らうふたり。

「ごちそうさまでした♪」

あっという間に完食し、食事が終わったのはショー開始50分前。

幸せなお食事タイムから一変。

ここからなっきー様の地獄が始まる。

金びょうぶの前で今回使うバルーンをせっせと膨らましては、あーでもないこーでもないと独り言をつぶやき続けること30分。

僕の方はというと、自分の準備はもう終えてこの余裕。

「ヤバい、ヤバい、ヤバいヤバいヤバい」

と、独り言がヤバさの主張に統一された頃にはステージ開始まで残り10分。

僕は思った。

なぜショー前にこんなにヤバいのなら昼間にやっておかなかったのか?

まぁこの方にもいろんな想いや事情があるのだろう。

特に掘り下げることはしない。

(面倒だから)

どんなにヤバかろうが、間に合えばいいし、ステージ内容に影響がなければそれで良い。

そんなこんなでなんとかギリギリ準備は終え(たのか?)

恒例の記念撮影ハイチーズ。

さっきまであんなに締切に追われる女流作家のような険しい顔してたのに、これだ。

ショー直前、身支度を整えたふたりは、控え室から会場までの1分もかからない距離を小走りで急ぐ。

「あー!ハンカチわすれた!カナトは持った?」

持ってますから。

慌てて控え室に戻る女流作家。

慌ただしい女流作家は放っておいて、僕は先にステージがある宴会場の入口へ。

そこで2人の子供に遭遇した。

男の子と女の子だ。

「あれ? 今日は女の人いないの?」

と女の子。

ハンカチ忘れたって慌てて戻っていったよ。

「去年連れてた透明の犬は??」

と男の子。

残念、今日は連れてきていないの。
でもすごい! 覚えててくれたんだね!

うれしい!

昨年も参加してくれた子供たちのようで、覚えててくれたことに感動をしていると、女流作家が戻ってきた。

今から楽しいステージはじまるからね。

19時20分。

僕らのクリスマスステージが始まった。

ステージが始まるといつも通りのポコピカソン。

いつものように子供たちとそのファミリーに囲まれて楽しいステージなのだが…….。

なっきー様、これだけは言わせて。

ショーが始まって、大切な自己紹介の時に「みんな、ちょっとごめんね」と急にステージから去り、ビデオカメラを回しにいくのだけはやめていただきたい。

あんたどんだけ自由なの。

(つ・ω・)≡つ)`д゚)∴

「いつもね、1人のステージでもよくやらかすの。ふふふ♪」

ふふふじゃねーから(ㆆ_ㆆ)

ステージはドタバタと終盤に向かい、今回の新たな試み「本日のダイジェスト」のコーナー。

ショー開始からたくさんの歌や遊び、パフォーマンスをぎゅっとひとまとめにしておさらいしましょうという斬新なコーナー。

振り返って見てみると、本当にポコピカソンのステージはドタバタだなぁと思うはず。

なかなか面白かったので毎回取り入れてみようかな。

楽しい時間はあっという間。

片付けまでもドタバタと終わらせて、ホテルを後にします。

せっかくだからクマさんの前で記念撮影🐻

(ピンぼけしとるやないかい)

僕は東京に帰るための終電に飛びる時間が迫ります。

駅までの道中に気が付きました。

「あれ?もしかしてさ、今日で良いお年を?」

それぞれ個人の仕事はあるけれど、ポコピカソンとしては今日が仕事納め。

今年1年を振り返るのは、また別のお話。